なぜ、【ふくらはぎ】を緩めると体は軽くなるのか?
様々なお客様のお体に触れさせていただいている中で、ふと気づくこと
足元がカチカチに硬くなっているという事実。
「とにかく肩がつらくて」とリクエストされたのに、いざベッドに横になっていただき足に触れてみると、驚くほど張っている。
本当に悲鳴を上げているのは、実はふくらはぎだったりするから不思議なものです。
お客様に足が張っていることを伝えると、「えっ、足ですか? 自分では全然気づきませんでした」と驚かれることが少なくありません。
肩や首の痛みは自分でも感じやすいんですが、足の重さや硬さは、毎日のことすぎて麻痺してしまっている方がとても多いんですね。

ふくらはぎは「ため込みやすい場所」
体には、常に重力がかかっています。
立っていても、座っていても、血液や水分はどうしても下へ下へと溜まりやすくなってしまう。
長時間のデスクワーク。
立ちっぱなしの仕事。
日々の運動不足。
こうした生活習慣が積み重なると、足は私たちの想像以上に過酷な状態に置かれます。
本来、ふくらはぎは体の下から上へと、巡りを押し上げる大事な役目を担っている。
歩いたり走ったりすることで筋肉がポンプのように動き、全身の流れをスムーズにしてくれる。
けれど、デスクワークなどで動かさない時間が長く続くと、そのポンプの働きはどんどん弱くなってしまうんです。
すると、どうなる?
冷える。
むくむ。
だるい。
そして、なんとなく全身が重い。
多くの方が首や肩のコリばかりを気にして、そちらを一生懸命揉んだり温めたりしがち。
もちろんそれも大切なんですが‥実は体の土台である足元が滞ったままだと、上半身だけをケアしてもなかなかスッキリしないことが多いんです。
下半身がゆるむと、なぜ全身が軽く感じるのか?
施術をしていてハッとさせられる瞬間があります。
それは、ガチガチだった下半身の緊張がフッと解けた瞬間のカラダ全体の変化です。
言葉にするのは少し難しいんですが、手を通してフワーッと力が抜けていくのが伝わってくる。
浅かった呼吸が、急にスーッと深くなる。
眉間に寄っていたシワが取れ、顔色全体がやわらかくなる。
施術後にお話しすると、声のトーンまで一段階落ち着いた穏やかな響きに変わったりするんですよ。
これは、特別な魔法を使っているわけではなく‥
滞っていた流れが整い始めたという、カラダからの正直なサインのようなものだと思っています。
上半身ばかりを念入りに触っても、どこか「戻り」が早い方がいらっしゃいます。
ほぐしたその日は良くても、翌日にはまたガチガチになってしまう。
でも、足裏からふくらはぎまでじっくり時間をかけて整えたときは、結果が全然変わってきます。
翌日の体の軽さが長持ちしやすいですし、「朝スッキリ起きられました」ということも増えると思いますよ。
体は、すべてひとつに繋がっている。
服のシワを想像してみてください。
裾の方で生地が引っ張られていると、肩のあたりまでツッパリ感が出ますよね。
人間の体もそれと同じ。
だからこそ、下半身だけでも、上半身だけでも足りないんです。
「短時間」では届かない奥深い場所がある
ここから、少しだけ踏み込んだお話を
最近は、街を歩けば30分や40分といった短いコースのお店もたくさん見かけますよね。
お仕事や家事で忙しい方にとっては、スキマ時間に通えるとてもありがたい設定だと思います。
もちろん、そうしたケアを否定するつもりは全くありません。
つらい部分を集中的に触ってもらえば、その場では確かに軽く感じられますし、リフレッシュにもなります。
たぁだ〜
全身の滞った流れを根っこから整えようとすると、どうしても時間が足りなくなっちゃうんです。
足裏から始まり、ふくらはぎへ。
太もも。
腰回りを経て、背中へ。
肩から腕、そして指先や頭皮まで。
ゆっくりと手の平で触れて、体が自然にゆるんでくれるのを「待つ」。
この「待つ」という時間が、実はとても大切なんです。
体は急に強く押されると、身を守ろうとして無意識に力が入っちゃいます。
少しずつ警戒心を解きほぐし、奥深くの強張りにアプローチしていく。
その積み重ねには、どうしてもある程度の時間と余裕が必要になってきます。
急いで表面だけを流すのと、じっくりと奥まで深めていくのとでは、終わった後のカラダの反応がまったく違います。
これは、私が感じてきた実感です。
ふくらはぎと心の、不思議な繋がり
もうひとつ、足裏やふくらはぎに触れていて気づくこと。
足が芯から冷えている方は、体だけでなく「心」の緊張も抜けにくい傾向がある、ということ。
触れていると、手のひらを通して伝わってくるものがあるんです。
表面のお肉はやわらかくても、その奥にある芯の部分がギュッとこわばっている。
常に何かに追われていたり、気を張っていたりする状態が、足元にそのまま表れているような気がします。
でも、足元を丁寧に温めながらほぐしていくと、次第に下半身がポカポカと暖まり始めます。
すると、それに連動するように上半身の力みもほどけていく。
そうして体全体がゆるむと、自然と気持ちまでゆったりと落ち着いてくるものなんです。
難しい理屈は並べません。
ただ、体がゆるめば、心も静まる。
本当にそれだけのことなんですよね。
だからこそ、目立たない下半身を後回しにしてはいけないと、私は強く感じています。
小さな足先まで触れることの意味
足裏や足の指先は、体全体から見ればとても小さなパーツです。
けれど、神経が集中している非常に敏感で大切な場所。
ここが冷たくなっていたり、カチカチに硬くなっていたりすると、カラダ全体が「今は緊張モードだぞ」と勘違いしたままになっちゃいます。
足裏のツボを押し、ふくらはぎを手のひらで包み込むように丁寧に整える。
たったそれだけで、全身の巡りがスイッチを入れたように一段階上がる感覚があるんです。
末端まで温かい血液が巡り始めると、カラダは本来の回復力を取り戻していきます。
特に「冷えが強い」「疲れが取れにくい」と感じている方には、この足元のケアを大切にしてほしいと思います。
足は、決して体の「終点」ではありません。
全身に元気を行き渡らせるための、「始まり」の場所なんです。
サロン選びのひとつの基準として
もし、皆さんがこれからカラダを休めるためのサロンを選ぶなら。
「時間の長さ」にも少しだけ目を向けてみてはいかがですか?
料金が安いかどうか。
自宅や職場から近いかどうか。
もちろん、通いやすさも大切ですよね。
でも、もうひとつだけ基準を加えてみてください。
「どれだけ丁寧に、全身を触ってくれるか」
そこを見てほしいなと思います。
短時間で終わる施術が悪いわけでは決してありません。
けれど、滞った全身を隅々まで満遍なく整えるには、どうしてもそれ相応の時間が必要になります。
水が流れる道を作るには、正しい順番があります。
筋肉が芯からゆるむには、優しく待ってあげる時間がいる。
人間の体は、スイッチひとつで切り替わる機械ではないんだから。
最後に
ふくらはぎを緩めると、体がフッと軽くなる。
それは魔法でも何でもありません。
特別な理論が必要なことでもない。
ただ、体の土台が本来の働きを取り戻し、整ったから。
本当に、ただそれだけのこと。
最近、どうも疲れが抜けにくい。
朝起きた瞬間から、体がどんよりと重い。
足元がスースー冷えて眠れない。
そんな不調を感じたときは、つらい肩や首ばかりを揉むのではなく、一度ご自身の「足」から見直してみてください。
カラダはとても正直です。
下半身から優しく整えてあげれば、上半身までちゃんと期待に応えてくれますよ。
そのお手伝いができればこれほど嬉しいことはありません。
ぜひ一度、時間を忘れて全身をゆだねる心地よさを味わってみてくださいね。


